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松本大策のコラム
ビートパルブのお話し

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2013年3月11日

 みなさん、ビートパルプという餌のことはよくご存じだと思います。

 特にむかし酪農をしていた方などは、第一胃の発酵安定に効果的なことから、よく使われたのではないかと思います。
 ビートパルプは、第一胃の中でゆっくり発酵してくれます。そのため、第一胃の発酵速度の調整や善玉菌の定着巣として極めて有効なのです。

 ただし、使い方次第では、事故の原因にもなるので注意しましょう。
 成牛でもそうなのですが、特に子牛に与える場合は、必ず水で戻して(ふやかして)与えるべきです。そうしないと、主に第4胃でビートパルプのペレットが水を吸って膨らんでしまい、第4胃の食滯をおこしてしまうことがあるのです。
 早く診断がついたらオペで助けることが出来ますが、手遅れになると死んでしまう怖い状態です。また、夏場は水でふやかした物が腐敗しないうちに使いきりましょう。

 このビートパルプも、TPPのあおりで入手が不透明です。海外から安いグラニュー糖が入ってきたら、北海道のビート農家はつぶれてしまう可能性が高いので、結果的に絞り粕のビートパルプもなくなるというわけです。

 TPPの影響はいろいろと、気づかないところでも起こりそうです。

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