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松本大策のコラム
「生産性を阻害する要因(病気)を抑える (5−1)」

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2011年10月24日

− 第5章 免疫のお話し その1 −

 つぎに免疫のお話しをしましょう。免疫というのは、簡単に言うと「病原体をやっつける力」です。覚えなくてもいいですが、もうちょっと詳しくいうと「自己と非自己の認識をする力」、つまり自分と自分じゃないものを見分ける力のことです。体の中に自分じゃないもの(病原体など)が入ってきたときに「免疫」が働いて「自分じゃないもの」をやっつけてくれるのです。臓器移植の時も、この免疫が働くので「他人の臓器」を「自分じゃないもの=敵」ということでやっつけてしまうと、せっかく移植した臓器が定着しません。ですから「免疫抑制剤」というものを使う必要があるのです。

 さて、先ほどから免疫、免疫、というお話しをしていますが、一口に「免疫」といってもいろんな種類があります。大きく「細胞性免疫」といって、好中球やTリンパ球、マクロファージなどの白血球の仲間が血管内外を動き回って、直接バイ菌等の病原体を食べてしまうタイプがあります。もう一個は「液性免疫」といってBリンパ球という白血球の仲間が担当するもので「抗体」とよばれる飛び道具を使うタイプの免疫です。「抗体」というのはIgGというタンパク質の仲間で、病原体にくっついて閉じこめてしまう、いわゆる檻のようなものです。「抗体」はそれぞれの病原体ごとにオーダーメイドで作ります。病原体の表面の形がそれぞれ違うので、それぞれの病原体に合わせて作らなければならないのです。

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