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NO.224:牛の病気―頭部―(7) |
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2013年3月6日
7、角膜類皮腫
原因
稀な先天性疾患で、胎生期(母牛のお腹の中の時期)に上皮組織(皮膚となるべき組織)が角膜に迷入し発生する。
症状
多くは生まれた子牛の眼球(角膜など)に被毛が生えていることで発見される。
眼球への刺激による流涙が強く見られる。
程度によっては視野が遮られ盲目となっている可能性がある。
牛において角膜類皮腫は合併異常(他の奇形など)を伴わない先天異常とされているが、内水頭症を併発する症例と遭遇している。
農家さんができる処置
角膜に被毛が生えているという症状のみで健康である子牛には、特に処置が必要ない場合もある。
他の全身性の失調、奇形等が無いか注意深く観察する。
偶発的な先天性疾患であるため、予防対策は特に無い。
獣医師の治療
市場価格の下落、あるいは重度の角膜刺激による生産性の著しい低下を考慮した場合、必要に応じ外科的切除術の対象となる。
(チクサン出版社 臨床獣医 2009.Jul.Vol.27,No7. 「黒毛和種にみられた角膜類皮腫の手術例」が大変詳細でわかりやすい)
予後
症状が軽度であれば繁殖母牛、肥育牛として以後の飼養に問題はない。

写真1
角膜類皮腫の子牛

写真2
角膜類皮腫を持つ牛が肥育され、反応性に肉芽腫様に成長したと思われる症例

写真3
類皮腫の子牛
瞬膜、および強膜に類皮腫を認める

写真4
3と同じ子牛
水頭症を併発している
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