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松本大策のコラム
「生産性を阻害する要因(病気)を抑える (3−2)」

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2011年9月20日

第3章−感染症に対する武器 その2−

 さて、感染症には抗生物質だぁ!と言いたい所ですが、残念ながらウイルスには抗生物質は全く効果がありません。「それじゃ、なぜ肺炎の牛に抗生物質を使うのさ?肺炎の原因ってウイルスでしょ?」というあなた。するどい!

 確かに肺炎の原因としてウイルスは大きな悪さをします。しかしここに細菌が2次感染すると、肺炎が劇的に悪化するのです。肺に膿がたまるような状態のものは2次感染した細菌の悪さによるものです。ですから、肺炎の時は細菌の2次感染を全力で防ぐために抗生物質を使うのです。このとき、本来でしたら「病気している牛さんに効果がある抗生物質を、感受性試験という試験をして選ぶのがベストなのですが、実際には時間もコストもかかりますし、手遅れになるので、抗菌範囲の広い(いろんな細菌に効果がある事をこう呼びます)抗生物質を使って、効果を確認しながら当たる抗生物質を選んでいくことになるのです。こうやって治療しながら当たる薬を調べていくやり方を「診断的治療」といいます。

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