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松本大策のコラム
「生産性を阻害する要因(病気)を抑える (2−3)」

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2011年7月4日

第2章−感染症の病原体 その3 −

 ここまで悪玉菌のお話しばかりしてきましたが、細菌の中には牛さんの第一胃の発酵を受け持ってくれたり、おみそやおつけものを作ってくれる、いわゆる善玉菌と呼ばれるものもいます。善玉菌は悪玉菌をやっつけてくれる働きもしてくれます。ですから生菌剤は、良い働きをしてくれたり、悪玉菌をやっつけてくれる善玉菌を集めて牛さんに飲ませて牛さんの健康維持をさせようというものです。

 あと、牛さんでは「マイコプラズマ」という病原体も問題になっています。細菌と似たものなのですが、大きさが細菌より若干小さく、またある種の酵素系を持っていないので細菌と区別されます。

 牛さんでは、中耳炎や脳炎、肺炎の原因になります。マイコプラズマは牛さんの気管や肺の粘膜にある冊子縁(エヘン虫を追い出すブラシみたいなもの)を食べ荒らすので、他のバイ菌も進入しやすくなってしまいますから困ったものです。また、中耳炎は鼓膜の奥の炎症ですから、鼓膜を破って内部に薬を入れてあげなくてはなりませんから治療も若干やっかいです。
(つづく)

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