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松本大策のコラム
「生産性を阻害する要因(病気)を抑える (1−1)」

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2011年5月30日

第1章− 巻頭言 その1 −

 みなさんこんにちは。最近マンネリしてるんじゃないの?と批判集中の松本です。今回から、繁殖・肥育ともに共通して問題となる「病気」のお話しをしてみたいと考えています。病気すれば看護は大変だし、薬や治療費はかかるし、牛さんが痩せちゃうし、みなさんも病気のデメリットは十分ご存じだと思います。でも、案外見落とされているのが、軽い病気が与える大きな経済性低下です。ひどい病気でしたら、みなさんもすぐに獣医さんを呼んで治療してもらって、と対応なさるはずです。でも、ほんの少し食欲がない、とかちょっと元気がないかな?なんてケースでは、なかなかすぐに対応するという事にならず、目先の仕事に追われているうちに、何となく気にならなくなった、なんて事も多いのではありませんか?しかし、僕があちこちから受ける相談に取り組んだケースワークの問題の多くの原因として、たとえば子牛の発育にしても、肥育の増体や肉質にしても、見落とされているような軽い病気で、長い期間影響を受けて結局満足のいく仕上がりが出来なかった、という事例がとても多いのです。

 子牛では、下痢や肺炎にかかると、治ったように見えてもなかなか増体が改善しない、とか、肥育牛の場合も導入時にどうしても粗飼料を食い込めなくて、結局腹作りが思わしくなく、中期に食い込めなかったためにロース芯も小さくサシも少ない、なんていう例が多いのです。その原因を突きつけてみると導入時に軽度の隠れ肺炎を引きずっているので、なかなか体調が思わしくなく、粗飼料の食い込みが足りなかった、というものが多いのです。(もちろん粗飼料の品質が悪い場合もありますよ。)子牛の育成を改善するにも、肥育牛の増体・肉質を改善するも「第一胃」をしっかり作るというのが、最も大切な作業なのです。大切な腹作りを阻害して牛の出来上がりを悪くしてしまうという点で、下痢や肺炎等の病気は最も注意しなければならない病気の一つだと考えています。(つづく)

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