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松本大策のコラム
「マイコプラズマで気になっていること(その5)」

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2011年5月9日


 さて、先週から引っ張りましたが、シェパードでマイコプラズマ対策の1つとして考えている「サイトレックス」についてもう少し詳しくお話ししましょう。
 サイトレックスは、もともとビタミンCやクエン酸を主体とする飼料添加剤です。子牛が元気になるためのリポビタンDみたいなものですね。
 ただ、これが強力な殺菌力を持っているのです。サルモネラ菌ですら100ppm、マイコプラズマにいたっては50ppmで殺菌できます。50ppmというと20,000倍希釈、パーセントで言うと0.005%でいいのです。これを子牛の飲み水に添加すると、鼻水やよだれで汚染された水槽の水の殺菌が期待できますので、感染の拡大防止に効果があるのです。ちなみに鳥インフルエンザウイルスでも100ppm(1万倍希釈)で不活化効果があります。
 その上、飼料添加剤ですから子牛には害どころか健康増進に期待がもてます。ポジティブリストも問題有りません。

 とはいうものの、流れる水に定量倍率で希釈して混ぜるのって大変です。そこで、前々から「肺炎対策の強い武器」として紹介している「飲水投与装置」の設置をお勧めします。これなら、熱があってエサによってこない子牛にもお薬を均等に飲ませることができるのでしたね。これにサイトレックスをセットしておくと、自動で50ppmでも100ppmでも、子牛の飲む水に混ぜてあげられます。「うちは哺乳ロボットのお湯にも同じ水使ってるんだけど..」って、ご心配なく。シェパードで100ppm希釈のお湯でミルクを溶いて試してみましたが、普通のお湯の時とまったく問題なく凝固などもなく使えました。
 海外ではすでに使われていますが、日本での飲水添加は初めてですから、いま何件かのコンサル先で実証試験を始めたところです。

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