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松本大策のコラム
「もうすぐ春ですね♪ その2」

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2011年2月28日

 全国に出張していると、日本って本当に南北に長いなぁ、と感じます。

 僕の住む鹿児島では冬でも放牧もできますし、運動場にも出してあげることができますが、雪国ではとても冬場に放牧なんてできません。

 そこで、今回は「春先に気をつけなければならない2つの血尿(というか、赤いオシッコ)」のお話しをしたいと思います。

 まず一つめは、冬場に畜舎で舎飼いされていた牛さん達が、春になって急に運動場や放牧場に出されたときに見られる赤いオシッコ。僕が学生の頃は運動性筋色素尿症と習った記憶があるのですが、いまは「麻痺性筋色素尿症」と言うようです。これは運動してない牛さんが、急に放牧場などに出てうれしくて急にはしゃいで激しい運動をすることによって、筋肉の過剰な破壊が起こったり、乳酸が過剰に蓄積されて起こる病気です。赤いオシッコですが、筋肉の色素なのですね。この病気は、そろそろメタボ対策に運動を始めようかと思っている僕も注意しなければならない、と思っています。予防するには、運動を制限しながら少しづつ放牧に慣らしてあげることです。

 さて、もう一つの方は、膀胱に腫瘍ができて、これが崩れるときに腫瘍を養う栄養血管から出血が起こりオシッコに混じるもので、こちらは血尿です。これは、ワラビ中毒の症状の一つです。治療はきわめて困難で、予後は不良です。放牧の際にワラビがたくさん生えているところでは注意が必要です。

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