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本当に寒さに震えていた(地域によってはまだまだ厳寒の中がんばっていらっしゃいますよね)長い冬も、ようやく立春を迎え、春の気配が近づいてきています。 春になると、牛さんの体の中でもいろいろな変化が起こります(代謝の変化という言い方をしますね)。みなさんも実感しているのは、春になると冬場になんか縮んでしまった牛さんがフワッとふくれたように増体が戻って来た、という感じではないかと思うのですが、これは冬場に体温維持のエネルギーが増えるため、増体分のカロリーが不足しがちだからです。この分、摂取したタンパク質を身につけるためのカロリーが不足して、増体は落ちるし、吸収したタンパク質は不要になって老廃物のアンモニアとして排泄されます。これによって尿のアルカリ化が進み、尿中のリンとマグネシウムをアンモニアのイオンが結合させて尿石(リン酸アンモニウムマグネシウムという物質です)を作るのが冬場の尿石症なのです。ですから冬場の尿石症では、血液中のアンモニアが増えた状態で起こる、被毛が荒くなる、陰毛に結石が付着する、等の症状が多いのです。 でも春になると体温維持のためのカロリーは少なくてすみますから、吸収したタンパクを身につけるためのカロリーも足りるようになります。結果的に血液中のアンモニアも減ってくれます。また、暖かくなって水を飲む量も増えてきます。ですから一般的に春になると尿石症は減ってくるね。ということになるのです。 しかしあえて警鐘を鳴らしておきたいと思います。春先の尿石症は、前触れなしに急に詰まるから発見が遅れがちになるケースが多いのです。これは、冬場に上の写真のように結石が膀胱や腎臓にできてしまっているのが、春になって尿中のアンモニアが減って膀胱内の石が溶け出して小さくなるので、尿道へ流れ出して急に詰まってしまうためです。膀胱炎などを併発しているものも多いので、尿がぶどう酒色になっているものもよく見かけます。冬場に尿石症がでていた農場では、春先もよく注意しておいて下さいね。 |