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松本大策のコラム
「体温と免疫」

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2011年1月24日

 先日、ネットで調べものをしていたら「なぜ人間の体温は36.5℃なのか?」という説明がありました。36℃以上がバイ菌の増殖を抑えるのに都合がよいのですが、40℃以上になると動物の酵素が失活して生きていけないそうです。ですから、動物の体温としては36℃から40℃が、バイ菌の増殖を抑えるためには最も好ましく、しかもその中でエネルギー効率がもっとも良いのが36.5℃なのだそうです。人間は消化器が発達していないので、エネルギー供給が少ないため最も効率的な36.5℃になっているそうです。

 バイ菌は体温が1℃あがるごとに8%ほど増殖が低下するそうです。牛さんは、38.5℃の体温を持っていますから、人間よりもバイ菌に強いのですが、その分ずっと餌を食べ続けなければならないそうです。

 ここで、免疫の中心は小腸にあるGALT(腸管関連リンパ組織)という部分で、ここが肺炎や腸炎などのバイ菌に対する免疫を強化してくれるそうです。ですから、ここが冷えないようにしてあげなければなりません。お腹を冷やすと風邪を引く、というおばあちゃんの知恵は正しいのですね。ですから、冬場の子牛は敷き料をしっかり入れてあげるのが大切ですし、もう一つ、牛さんの小腸は第一胃の右側に蚊取り線香みたいなグルグル巻きでへばりついていますから、良質の粗飼料を与えてあげると、第一胃の発酵熱のおかげで小腸が暖まり、免疫もあがるし、身体も暖かくなるから風邪を引きにくくなるのです。

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