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松本大策のコラム
「系統ごとの肥育方法 その6」

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2011年1月17日

制限給餌とスラグフィーディングのワナ

 但馬系の牛さんは制限給餌をすることが多いのはみなさんご存じだと思います。しかし、制限給餌というのは、人間が勝手に「この牛は何kg給餌する」と言うことではありません。牛さんの体格や状態を見ながら、過食にならないように、特に前期の筋間脂肪などの付着を押さえその牛さんにとって最良の時期に飼料給与が最大になるようにコントロールすることなのです。

 ここで、濃厚飼料だけでなく粗飼料まで無理な制限をかけてしまうと、飼槽がカラの時間が長くなってしまいます。つまり、牛さんが飢えている時間が長くなってしまう、ということなのです。ある程度の飢えは、次の飼料摂取量を増やすのに有効ですが、度が過ぎると次回給餌の時に牛さんは腹ぺこのあまりに短時間でドカ食いをしてしまいます(これをスラグフィーディングと呼びます)。そうなると第一胃の発酵や有効細菌のバランスが乱れてしまい、結局はその後の飼料摂取量が回復しづらい、低迷してしまう、ということになるのです。

 では、どの程度飼槽をカラにしておくと良いのでしょうか?これは馴致によっても違ってきますが、よく食べた牛さんは、午後1時から3時頃まで、座って反芻をしています。このくらいの時間が適切ではないかと思います。牛さんが立って餌箱をなめる様だとカラの時間が長すぎてドカ食いの原因になるようです。。

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