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池田哲平のコラム
尿石症を考える(25)

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2013年1月4日

 膀胱炎の治療においては、尿路排泄される抗生物質を使用することで、薬剤を有効に膀胱に届ける事が出来るので、治療の効果が高まります。

 しかし、ここで注意しなければいけないのが、耐性菌の問題です。
 
 抗生物質(抗菌薬)というのは、使用を続けていれば必ずその薬剤が効かない菌(薬剤耐性菌)が生き残って増殖してきます。そうさせないためにも、抗生物質は同じものを何日も連続して使用しない方がいいと言われています。使用する抗生物質は必ず3-5日サイクルで変えた方が良いです。膀胱炎を始めとした尿路感染症は、常に尿にさらされるという環境にあるため治癒に時間がかかるので、その為、抗生物質の使用期間も長くなります。その間に耐性菌を増やさないためにも、抗生物質は適正に使用していかなければならないと、常々思っています(これは肺炎や腸炎と言った他の細菌感染症においても同じ事です)。

 さらに、去勢(雄)牛の場合は尿石症に続いて二次的に膀胱炎になっている事が多いので、バイパス手術後も尿石症に対する内科的な治療(経口による尿石症治療薬の投与)も併せて行う場合もあります。

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