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松本大策のコラム
「系統ごとの肥育方法 その4」

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2010年12月20日

 肥育牛の代謝病の大きな原因になる「ルーメンアシドーシス」については、ちょっとあとに回すとして、少し具体的なお話をしましょう。

 大型の気高系の場合は、去勢牛でしたら9ヶ月齢程度の子牛を導入して1ヶ月間ほどはほとんど粗飼料重視で腹作りをします。このとき、基本飼料を与えずフスマと粗飼料だけで飼育するケースが多く、大豆粕を2〜300g与える方もいます。粗飼料もマメ科のルーサン(ルーサンヘイやヘイキューブ)を主体とするところが多いです。導入から1ヶ月でフスマ5kg、粗飼料5〜6kgは食べるようにします。その後、2〜3ヶ月でTDN75%程度の基本飼料と切り替えていって粗飼料は2kg、稲わら1から1.2kg、基本飼料を8kg程度は与えていきます。これに対して、小型の但馬系の場合は、粗飼料はチモシー系のほうがあっているようで、粗飼料と基本飼料(ビール粕を20〜40%程度入れたTDN60%以下程度の薄いもの)をじっくり増飼していって、15ヶ月齢でようやく5〜6kgにもっていくのです。

 同じ牛さんといってもこのように、使う飼料も、増飼の速度も大きく違うのは、第一胃の「酸の吸収速度」が違うからなのです。また、それぞれ体が大きいほど体を維持するカロリーの差は大きいのですが、筋肉を維持するたんぱく質の量は違うといってもそんなに大きく違いません。ですから、小型の肉質系ではカロリーが低く蛋白の高い餌を、大型の気高系の場合は、カロリーが多くたんぱく質は低めの餌を使うのです。

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