みなさんご存じのことですが、肉用牛には大きく分けると、大型の増体タイプ、小型の肉質タイプ、その中間系、の3つのタイプに分けられます。
平茂勝の産子や、その基となる鳥取系(気高系ですね。そのルーツとなる栄光系は若干中間型の特徴を持ちます。)が大型の増体系、茂重波や美津福、紋次郎などのいわゆる小型但馬(最近では安福久や北平安などが有名ですね)が小型の肉質タイプ、但馬でも岐阜系の安福の流れを引く牛さんや岡山系から生み出された糸系などは中間タイプ(平茂勝産子の種雄牛でも百合茂は中間型です)に分けられます。
各タイプの違いとしては。まず体格の違いがあります。体格の違いは筋肉の維持や発達に必要なタンパク質の量が違います。ただし、その差は数十gです。さらに、大きな体格の牛さんは、その大きな体格を維持するのにたくさんのエネルギーが必要ですが、小型の牛さんではそこまでたくさんのエネルギーが必要ではありません。その差は、TDN(カロリー)で数百gになります。ですから、おおざっぱに言うと、まずは飼料のカロリーとタンパク質の比率が大型牛ではカロリー多め、小型タイプではタンパク高め、という飼料設計をします。
また、「第一胃の違い」も大きいのです。牛さんは、炭水化物(繊維(NDF)とデンプン(NFC))からお酢の仲間を作り、それを第一胃で吸収するのです。大型の増体タイプと小型の肉質タイプでは、第一胃で発生したお酢の吸収速度が違うのです。大型牛はお酢の吸収速度が早いのですが、小型牛では一般にお酢の吸収速度が遅い傾向があるのです。
(つづく)