TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の締結を巡って、いろいろな立場の人から様々な意見が出ています。僕自身は絶対に反対です。
アメリカから、現在の価格の1/8で米が輸入されたら、日本の大半の農家は太刀打ちできないでしょう。日本の輸出産業は、関税撤廃で黒字が2兆円とかの試算を出していますが、国家の食料安全保障の基である「農業」をないがしろにして、この国は成り立つのでしょうか?
僕が子供の頃の大豆ショックを思い浮かべます。あのとき、アメリカは安い大豆を日本に輸出して、日本の大豆農家をボロボロにしたのち、シェアを奪ったら価格を2倍にしました。豆腐が食えないと大騒ぎになったものです。食料が自国で生産できなくなった時、同盟国が手のひらを返すことなど、このお人好しの国は考えてもいないのでしょうね。
それだけではありません。日本の田畑が荒れると、二酸化炭素の吸収・酸素の生産・水の蓄積と浄化・治山治水・ひいては下流域の漁場までも護っている「農家」の働きが成り立たなくなってしまいます。この損害を補償するには、いったいどのくらいのコストがかかるのでしょうか?たとえば、治山治水費一つとっても莫大な支出が控えているのではないでしょうか?
一国の外務大臣が、「農業はお荷物」などと発言する国に、将来などないと感じるのは僕だけではないでしょう。