(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
ゲストのコラム
業の深い仕事?(2)

コラム一覧に戻る

2012年12月25日

~違和感~

その後、その牛のお肉を購入させていただき、実際にその牛肉を手にしたときに、ちょっと今までと違う感覚を味わったんです。

せつないというか、悲しいというか、いたたまれないというか、そんな感じです。

今までも、お客様が育てた牛の肉を食べたことは何度もありました。
ただ、今までは、自分が担当したときには、すでに当社製品をお使いいただいており、その牛一頭一頭まで意識していなかったというか、決して手を抜いていたというわけではないんですが、意識レベルが低かったんでしょうか、農場にいる牛と、お肉になった牛がリンクしていなかったんです。
考えてみると、取り組む姿勢が浅かったのかもしれません。ごめんなさい。

一方で今回は、新規であった農家様に、自分で話し込みをして当社の配合飼料を使ってもらうようになり、より良くしたい、微力ながらも貢献したいと思い、定期的に訪問していたからでしょうか。また、松本先生にもいろいろ教えていただきながら、牛の尿を取ったり、お産に立ち会って一緒に子牛を取り上げたりしたからでしょうか。
訪問した時に一頭ずつ観察していたからだとは思いますが、パッキングされたお肉を見たときに、農場にいる牛たちの姿がリアルに目の前に浮かびました。
出荷直前に農場を訪問していなかったので、そのお肉が、生きていたときにどのコのものだったのか、個体の識別まではできませんでしたが、でも確かに、僕はそのお肉になったコを子牛の頃からずっと見てきていたんです。僕が見ていた群の中に確実にいたんですね。当たり前ですけど。
そして、そのコをいかに病気にせず、しっかり食わせこんで、いいお肉にするかということを考え、そういう目で見ていたんです。

(つづく)

中部飼料株式会社 本社工場 養牛課
田内 遊

|