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池田哲平のコラム
尿石症を考える(24)

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2012年12月21日

 1)の結石だった場合は、まだ膀胱内に多くの結石が残っている可能性があるので、結石を溶かす飲み薬を併用していく必要があります。

 2)~5)は単独で尿道を詰まらせる時もあればいくつかが混ざっている時もありますが、これらはある状態を示すサインになります。

 それは、重度の膀胱炎が起きているということです。

 膀胱内に出来た結石によって粘膜が物理的に刺激されて炎症が起き、それが続くと粘膜上皮は壊死して脱落してきます。脱落した粘膜の部位からは出血がおこりますし、その部位を埋めようとしてフィブリン(線維素)と呼ばれる傷の修復材料がやってきます。これらが粘膜面から剥がれ落ちると、尿と一緒に膀胱から体の外に排出されるのですが、細くなっている尿道では、当然詰まってしまう事もあります。また、これに膿が混ざっている時は、細菌感染を伴った膀胱炎になっている事を表します。
 こう言った場合は抗生物質の全身投与が必要になりますが、ここにちょっとしたポイントがあります。それは、尿路排泄される薬剤を選択するということです。

尿石症を考える(24)

(つづく)

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