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池田哲平のコラム
尿石症を考える(23)

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2012年12月14日

 術後の排尿が思うようにいかない場合、まずはその原因を探る必要があります。

 まず最初にチェックするポイントは、バイパスした尿道が詰まっているのかどうかです。結石によって尿道が詰まっている箇所を手術でバイパスし、その時はしっかり排尿が確認できても、術後に再び詰まってしまう事はたまに起こります。こういった場合はこの詰まっているものを取り除く必要があります。バイパスした尿道の出口付近で見える場合は、鉗子などで直接取り除きます。カテーテルを通して奥の方にあるのが分かる場合は、カテーテルを使って奥(膀胱内)に戻すか、膀胱マッサージで少しずつ排尿を促して外に出すかの二択になります。奥に戻りにくい場合は、カテーテルから生理食塩水などを送ってフラッシュしてやると戻り易い場合があります。

 この時、尿道を詰まらせているものは、必ずしも結石だけとは限りません。私が今まで見てきたものは、1)結石、2)膿、3)壊死した上皮、4)フィブリン、5)血餅、などです。色々とありますね。多くの場合、これらの異物を除去すれば牛さんはまたしっかりと排尿しますが、ただ取り除くだけではまた詰まってしまうかもしれません。この詰まったものからその牛さんの体の中でどう言った事が起こっているかを判断し、追加の治療や、治療方針の変更を考える事が大切だと思っています。(つづく)

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