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池田哲平のコラム
尿石症を考える(22)

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2012年12月7日

 そしてもう一つ注意しておかなければいけないのが、術後の管理です。特に前回のポイントでも挙げたように、手術までの経過が長い個体ほどその後の管理も注意して行う必要があります。

 坐骨直腸窩膀胱瘻形成術を行った場合、もともと術後数日で出荷する事を前提にして行う事がほとんどなので、術後の管理にあまり気を使う必要はないかもしれません。膀胱破裂を回避しBUN(血中尿素窒素)の値の上昇を防ぐ目的が達成できればオッケーです。強いて挙げるなら、膀胱内に留置したカテーテルが石によって再閉塞しないか、カテーテルが抜けていないか、と言ったところでしょうか。

 一方、会陰尿道瘻形成術はもっとも一般的な術式であり、術後の長い飼養期間にも対応できるのですが、術後の管理には少々気をつけなければいけません。
 
 まずは手術翌日、私は食欲の有無を一番にチェックします。食欲がある牛さんはおしっこもちゃんと出ていますし、腎臓や膀胱にも大きな問題がない証拠だと思っています。もし食欲がない牛さんであれば、まずは自力排尿するかどうかがポイントです。手術までの経過が長い場合は、尿道粘膜の炎症や浮腫がひどかったり、膀胱が麻痺して自力で縮む事が出来なかったり、あるいは膀胱内に残っている結石によってバイパス尿道が再閉塞して排尿できない時があります。そうなった場合は、術後も長い戦いが待っている場合があります・・・。

尿石症を考える(22)

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