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蓮沼浩のコラム
第305話: 思わず切なくなる

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2012年11月29日

 夏から秋にかけて鹿児島ではクモが牛舎に大量に発生します。餌となるハエや虫もたくさんいるのでそれはもう大盛況です。衛生面からできるだけ牛舎にクモの巣を作らせないように多くの農場ではしています。大体竹の先に葉っぱがついた状態のものを天井やらクモの巣があるところにあててワサワサやって取り除いていきます。しかし、クモ達もすぐにまた巣を作ります。小生が行く一軒の農場ではクモの巣をとることを一切やらない農場があります。すると・・・・とにかくもう牛舎の中はクモの巣だらけ。天井やらなんやらすさまじいことになっています。通路を歩いていると頭にクモの巣が引っかかります。一体何匹のクモがいるのかわかりません。そしてこのクモ達がまた丸々と太っているのです。やっぱり餌をおなかいっぱい食べているからでしょう。もうプリプリしたそれはそれは立派なクモ達です。しかし、時は流れ朝晩の冷え込みが厳しくなってくると・・・・だんだんと様子がおかしくなってきます。まず、クモの巣がぼろくなってくるのです。穴が開いても修理しないのです。そして気が付くとどんどん数が減っていきます。あんなにプリプリしていたクモのおなかがやせ細り、ほそ~~くなっています。周りにハエはほとんどいません。嗚呼、餌がもういないんだな・・・・・そうか、君たちも大変だな・・・・。あの繁栄は今ではもう見る影もありません。栄枯盛衰。諸行無常。しかし、来年には卵が孵化してまたたくさんのクモが牛舎を賑わせてくれることでしょう。牛舎の中でわずかに残ったやせ細ったクモの前に立ち一人でいろいろ考えてしまいました。

第305話: 思わず切なくなる

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