宮崎の口蹄疫が未だ終息していません。どうしてワクチンを使わないの?と思っていらっしゃる方も多いのではないかと思います。しかし、口蹄疫に関しては、ワクチンを使いにくいという事情があるのです。 口蹄疫のワクチンを使うと、口蹄疫ウイルスに対する免疫が出来ます。これを免疫抗体といいます。しかし、免疫抗体は自然感染でも牛さんの体内で作られます。そのため、免疫抗体をもった牛さんがいると、いつまでも「清浄国」とは見なされず、輸出が出来ないのです。 このため、どうしてもワクチンを使う場合、リングワクチネーションというやり方をします。発生地の周辺(遠い部分から)から中心へ向かってワクチンを打っていくのです。つまり、周りから固めていくのですね。こうやって口蹄疫の拡大と発生を食い止めます。 しかし、通常の場合、発生が食い止められた時点で、ワクチンを打った牛さんは全頭淘汰されます。先ほどお話ししたように「清浄国」に認定されるためです。 ここで、淘汰された牛さんへの補償は?とか、埋却地の確保は?とか埋却の人員やコストは?など、多くの問題が出てきます。今の日本では、なかなか政府決定が遅いようですからこれらの問題がクリアできないと、思い切った防疫対策も取りにくいのです。安楽死されて、いまだ多くの家畜が埋却地も決まらず腐敗しながらガスをまき散らしている状況は、緊急に改善しなければならないのですが。 |