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松本大策のコラム
「口蹄疫発生 対応を考える」

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2010年4月26日

 みなさん、せっかく日本の景気も若干回復の兆しを見せ始めたというのに、宮崎で10年ぶりとなる口蹄疫が発生してしまいました。
 いろいろな噂や憶測が飛び交っていますが、私たちがやるべき事は「冷静に自分の牧場を護る対応」です。まず、空気感染が強調されていますが、海外の事例などを見ると、「人と車の移動による感染拡大」が最も強いことが解ります。
 台湾で全土の農場が口蹄疫でやられたときに、周辺のすべての牧場に口蹄疫が波及しているにもかかわらず、一件だけ発生の見られなかった農場がありました。
 この農場では、他の車両や人の出入りを禁止し、飼料や資材の受け取り場所を農場から離し、その場所に飼料運搬車や資材運搬車が入る前に消毒し、さらにその受け取り場所から農場までは、自分の農場の車で消毒をした上でピストン輸送したそうです。つまり徹底した消毒と持ち込みの防止を図ったわけですね。
 それから、出来ればみなさんのマスク着用をお勧めします。万が一口蹄疫のウイルスがいた場合、人間は喉の粘膜でウイルスを運ぶ恐れがあるからです。僕が農場にはいるとき、必ず抗ウイルスマスク(N95規格というものです)を着用しているのをみなさんもご存じでしょう?
 マスクをしておくと、ワラくずなどの吸引で起こる「農夫肺炎」という潜伏期間が長く、急に発症して死に至る事もある人間の肺炎も防ぐことが出来ますよ。
 口蹄疫ウイルスに効果のある消毒薬は、ビルコンSが有名ですが、他にもグルタZ(ゼノアック)や塩素系消毒薬などいくつかあります。掲示板「疑似口蹄疫」スレッドの記事も参考になさって下さい。
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