スタータの影響
さて、2回にわたってスタータの食い込ませ方についてお話ししてきましたが、スタータを適切に与えることで、3ヶ月齢までに子牛の肩幅や背幅が出来てきてくれるというお話は最初にしたと思います。しかし、スタータの影響はそれだけにとどまらないのです。 大人の牛さん(というか3ヶ月齢後半位からですが)は、食べたもののうち、繊維とデンプンは第一胃で発酵消化してお酢の仲間(VFA:揮発性脂肪酸という酢酸・プロピオン酸・絡酸の3種類)を作ります。これらのお酢の仲間が牛さんのエネルギー源となります。 このできあがったお酢の仲間を吸収するのも第一胃の「粘膜絨毛」というビラビラからなのです。ですから、健康な粘膜絨毛がなければ、せっかく作ったお酢の仲間の吸収が悪くてエネルギーに変えられないだけでなく、第一胃にお酢がたまってしまい第一胃の胃酸過多になってしまうのです。この状態を「ルーメンアシドーシス」といって牛さんの代謝病の大きな原因となります。 スタータを適切に与えると、この粘膜絨毛がしっかり育ってくれるのです。粘膜絨毛がしっかりと発達していれば、第一胃で作り上げたお酢の仲間の吸収もよいので、牛さんは十分なエネルギーを確保できますし、第一胃にお酢がたまる心配もありませんから、ルーメンアシドーシスの心配も要らないのです。ですから後々の牛さんの発育や健康にも大きく貢献してくれるのです。 |