2012年11月13日 ~ 少年時代Ⅱ ~ 57才で、父親はこの世を去った。 小学校時代、PTAの会長であり、行事にはいつものトヨエース(トラック)で来ていた。トラックを見るなり友達から、「ちまさ、父ちゃん来たど~。」と冷やかしながら声をかけられる。それが何とも心地よかった。45歳頃から、ある出来事が父の精神状態を狂わした。以後、入退院・自宅療養を繰り返した。父から直接、「死にたい。」と言われた時、どうしようもない悲しさと寂しさと、どうにかしてやりたいとの気持ちがごちゃごちゃになって、一人で泣いた。父は、「今年の苗づくり、なじょすっぺ。」「稲刈りなじょすっぺ。」と心配ばかり。「大丈夫だあ。俺やっから。心配いらねえ。」と私がどんなに説明しても、どんなにやさしく話しかけても…。姉は、就職したばかり。兄は、進学のため家を出た。残るは俺一人となった。区画整備で30aになった水田に2条刈りバインダーと俺。ぬかるむ水田。晴天なのにカッパをはいて、悪戦苦闘の5日間。もちろん学校早退。そんなことが何度もあった。 ある日、友人からもらってきたと、1頭の子牛の世話を任された。ホルスタインの雌で、くるくるの目がとてもカワイイ。でも、飼い方が分からないので、本を買ってみた。京都亀岡で理想肥育されている関猪一さんの本だ。何度も何度も読んだ。そして、初めての出荷を迎えた。別れの朝、廊下から泣きながらそっと見送った。 (つづく) 株式会社百万石牧場 |