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松本大策のコラム
「子牛を丈夫に育てる その18〜ミルクのお話し(6)〜」

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2010年3月1日


群編成ストレスの対策

 16回のお話しで、群の再編成をすると、新しく追加した牛さんだけでなく、これまでに群を作っていて、免疫が回復した牛さんまで全頭の免疫が再び低下してしまう、というお話しをしました。一群の頭数を減らすことは、群の再編成を防ぐためにも有効です。
 しかし、繁殖経営の場合、子牛は一度にカーフコートの頭数分が生まれるわけではありません。新しい子牛が生まれたから追加して、この子牛が大きくなったから離乳して次のマスに移して、なんて事が多いのです。しかし、これは、先ほどからお話ししている「群の再編成」が絶えず起こっている、ということです。子牛達の免疫がなかなか回復する暇がなく、バイ菌に負けやすくなってしまうのです。
 そこで僕がお勧めするのは、カーフコート(哺乳ロボットの1部屋)の1群頭数を6〜10頭にしておいて、さらにその頭数分の個体管理用のハッチを作ってあげる、という方法です。
 生まれたら、順番に個別のハッチに入れて手やりの哺乳をします。順にハッチが埋まって、カーフコートの頭数分の子牛がそろったら、せーのがドン!で一回で群編成を済ませます。そうすると、群編成から3週間程度をしっかり管理してあげることで、その後は免疫が再び低下する可能性が低いので、病気が減ってくれます。
 なんといっても子牛の発育をじゃまするのは「病気」ですからね。1ヶ月ほど第1コートで管理した後は、もう免疫も回復しているので「同じ群」のまんま第2コートに移し、離乳後は「同じ群」のまま育成舎に移動すると、群再編成が起こりませんから子牛のストレスはかなり軽減されるのです。

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