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NO.206:薬剤関連性腸疾患 その5 |
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2012年10月24日
また、抗生物質、トルトラズリルの投与に加え、牛の全身状態に応じて、脱水の改善、電解質の補正、重炭酸イオンの補給、栄養の補給、肝臓での解毒機能の補助等を考慮して点滴をしてあげる必要があります。
努責、食欲低下、元気消失は観察しやすい兆候ですが、重症度を判定する上で四肢、耳翼等の末梢部位の温度低下の有無を観察することはとても重要です。
末梢部位の温度低下は、全身性の循環が弱っていることを示し、毒素の作用、脱水、自律神経の失調があることを示唆します。
そのような場合には、当然牛は重症であると判断でき、集中的な治療を必要とします。
強心剤を使用し、強肝剤、糖液、重炭酸ナトリウム、十分なリンゲル液等を適温に温め、ゆっくりと点滴します。
点滴後あるいは点滴中には、逆に抹消温度の上昇を確認することで点滴が十分に循環を回復させることができたかを評価することができます。
診療中の点滴の打ち切りは全身状態を見て総合的に判断しますが、およそ診療3日目以降では、脱水がなく、活力があり、食欲(子牛は飲乳欲)が出ていれば、努責や多少の出血、粘液が出ていても点滴をやめることが多いです。
これはβラクタム系抗生物質(アンピシリン等)の3日間の連続投与で、クロストリジウムは十分に退治できていると判断してのものです。(もちろん現場での判断を最優先しますので、あくまで参考まで)
ツづく
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