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松本大策のコラム
「子牛を丈夫に育てる その13〜ミルクのお話し〜」

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2010年1月4日

 さてそれでは、赤ちゃん子牛の最初の食べ物である「ミルク」のお話しに入りましょう。一口にミルクといっても、お母さんにつけておく「自然哺乳」と人間の手で与える「人工哺育」に分けられます。そして、人工哺育も手やりによるもの、哺乳ロボットを利用するもの、といろいろな方式があります。
 このうち、自然哺乳はお母さんの飼養管理がよければ、子牛の発育では有利な面も多く、管理も楽なのですが、お母さんの管理が悪いと、母乳の異常によって子牛の下痢の原因になることも多く、また母牛の発情回帰も早期離乳による人工哺育には及びません。
 母牛の飼養管理と母乳の異常については2006年の12月13日から4回連続で書いていますので、そちらを参考になさっていただくとして、せっかくですから寄り道して、お母さん牛の発情回帰や子宮回復を改善する方法について少し考えてみましょう。
 まず、子宮の回復については、子牛がおっぱいを飲む刺激で、子宮収縮ホルモンが出るので有利なのですが、もしもお母さん牛に与えているカルシウムやビタミンDが不足していると、子宮収縮に働く平滑筋という筋肉の働きが弱く、子宮の回復が遅れる場合があります。この場合はドン八ヶ岳ADEなどを、分娩前1ヶ月から20日間、分娩後10日目くらいから10日間程度与えてやると劇的に改善することが多いです。見た目でどういう牛さんかというと、汚露の排泄が4週間以上も続くようなケースです。普通は2週間くらいできれいになっていきます。

(つづく)

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