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松本大策のコラム
「子牛を丈夫に育てる その12〜いよいよ育て方に入りましょうか〜」

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2009年12月28日


 ここまで、子牛がお母さんのお腹にいるときの管理から、生まれた時点での衛生対策についてお話ししてきました。どれも子牛を立派に育てるための準備として欠かせない事ですし、さほど大変でもないのでぜひ実施してみて下さい。
 さて、ここまでで「立派な子牛」の素材が出来ました。ここからは、その大切な素材をすくすくと育てるためにはどうしたらよいのかを一緒に考えていきたいと思います。

(子牛の発育と栄養を考える)
 生まれたての赤ちゃんの食べ物は、なんと言ってもミルク(母乳も粉末ミルクも含んで「ミルク」と表記します。)ですよね。そして離乳食みたいな感覚で与える「スタータ」という飼料があります。人間だって、赤ちゃんにいきなりステーキなんか食べさせませんからね。離乳食という表現は、人間のそれとは少しずれているかも知れません。牛さんの場合、ミルクを飲んでいる時期から、かなりの量のスタータを与えていくからです。
 それから、牛さんは草食動物ですので良質の粗飼料も遊び食いさせてあげます。
 4ヶ月齢をすぎると、第一胃の発達が進んできます。第一胃は、発酵タンクとして粗飼料の消化が得意ですから、この時期からは良質の粗飼料をしっかり食い込ませる時期です。また、スタータからお兄ちゃん牛(あ、お姉ちゃん牛もいるか)用の育成飼料にも切り替えてあげなくてはいけません。切り替えは、ストレスを避けるために3ヶ月齢くらいから2週間から1ヶ月かけて切り替えることが多いです。
 これが、子牛の発育時期に合わせた大まかな飼養管理です。次回からは、それらのひつとひとつの時期について細かく考えていくことにしましょう。

 今年は大変な年でした。景気低迷による畜産界への打撃も大きく苦労なさったかたも多いと思います。来年はみんなでよい年にしましょうね。どうぞよいお年をお迎え下さい。

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