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池田哲平のコラム
尿石症を考える(15)

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2012年10月12日

 前回まで、尿石症になった時の牛さんの症状を色々と紹介してきました。排尿時の異常がみられる典型的なものから、他の病気も疑って診察を進めていかなければ分からないものまで、症状や稟告は様々です。
 
 ではなぜ尿石症になるのでしょうか?同じように飼っていても、発症する牛としない牛がいるのはどうしてなのか?(個体差だと言ってしまえばそれまでなのですが・・・)
尿石症の原因は多岐にわたり、多くの成書に色々な事が書かれています。全てを細かく説明する事はしませんが、肥育牛で問題になっている原因に関して今回から数回にわたって考えていきたいと思います。

 まず第一に、肥育牛の尿石症の多くは高蛋白かつ低カルシウム・高リンな餌を与えられていること(食餌性の原因)がまず背景にあり、その栄養素を効率よく消化吸収・合成・排泄する事が出来ない様な体の中の変化があった時(代謝性の原因)に発症すると考えられています。前回までの症例の中で登場した「膀胱炎による尿石症の発症(感染性の原因)」は肥育牛では比較的少ないと思われます。

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