2012年10月19日 肥育牛で尿石症ができるメカニズムの一つには、反芻動物の特徴的な蛋白質の利用方法が関係しています。牛さんを始めとした反芻動物では、食餌から得た蛋白質の一部(分解性蛋白質:DIPと言う)はルーメン内の微生物によってアンモニアにまで分解され、そのアンモニアはルーメン内微生物の増殖に利用されて微生物蛋白質となり、第四胃以降の消化管で消化・吸収されます。 DIPとNFCのバランスが取れている時は、牛さんは効率よくアンモニアを利用して微生物蛋白質を合成します。しかし、DIPが多くなったり、逆にNFCが少なくなったりして、DIPとNFCのバランスが崩れてしまうと、微生物蛋白質に合成できないアンモニアが増えてしまいます。 あふれてしまったアンモニアは生体にとって猛毒なので、どうにかして体の外に出す必要があります。そのメインとなるのが尿として排泄するルートです。簡単に言うと、おしっこの中にアンモニアを溶かして体の外に出すのです。が、このアンモニアの処理方法が尿石症を引き起こす原因にもなっているのです。 前の記事 尿石症を考える(15) | 次の記事 尿石症を考える(17) |