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さて、分娩前のお母さんの増し飼いがうまくいったら、つぎは分娩前後のお母さん牛の健康を護り、子育てにも母乳の質や量にも悪い影響が出ないようにしたいものです。 まずお勧めしたいのが、分娩前1ヶ月くらいでの駆虫とビタミン剤の給与です。寄生虫の被害を防ぐために、駆虫は少なくとも年に一回は実施したいので、せっかくですからこの時期にしてあげましょう。忘れにくいし、他にも大きな意味があるのです。たとえば、「乳頭糞線虫」という寄生虫は、胎盤を通り抜けてお母さんから子牛に寄生したり、乳房から母乳の中に侵入して、子牛が飲むときに感染したりするからです。せっかくよかれと思って初乳を飲ませたのに、その中が寄生虫だらけだったらかえって逆効果になってどうしようもないですからね。 それからビタミン剤というと、みなさんビタミンADE剤(ビタラップ63など)を想像すると思いますが、他にもビタミンDを300万単位から500万単位(オスビタンで3〜5ml)投与しておくと、汚露の排泄が速やかに行われたり子宮の回復が早かったり、産前産後の起立不能が出にくくなるなど、様々な効果が期待できます。せっかくですから亜鉛というミネラルも同時に給与すると、子宮粘膜の回復などの面でも有利ですから、僕はドン八ヶ岳のADEを50g、20日間から1ヶ月与えるように指導することも多いです。この添加剤には、牛さんに必要な吸収されやすい亜鉛とビタミンD3が30日与えると300万単位摂取できるように設計してあります。ビタミンAは150万単位ですから、他のビタミン剤と併用しやすいのです。 それから、出来ればお母さん牛にも生菌剤(アースジェネターなど)を常時与えておくと、コクシジウムの被害も減ります。今年の学会で宮崎大学の堀井先生が発表されたばかりのホヤホヤ情報です。 |