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伏見康生のコラム
NO.203:薬剤関連性腸疾患 その2

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2012年10月3日

 実際にどれくらいの血便からクロストリジウム・パーフリンゲンスが検出されるのでしょうか?

 最近、宮崎大学の桐野先生との共同研究(自分たちはうんちを拾っただけ笑)で、出血性腸炎を示す50頭超の牛の初診時の糞便を集め、その中に含まれる病原菌の調査を行いました。

 結果、血便からはアイメリア属のコクシジウムがほぼ100%に近い高確率でが検出されました。
 そして、クロストリジウム・パーフリンゲンス(エンテロトキシンα毒素放出型)が通常の10万倍に増えていました。

 予想されていた結果ではありましたが、自分たちの管内の農家さんで、自分たちで採取した糞便から検出されたデータとなると自分への説得力が違います(笑)

 この結果から臨床獣医師が理解しておかなければならないのは、フィールドにおいて牛の出血性腸炎に遭遇した場合、そのほとんどがコクシジウムとクロストリジウムの混合感染により起こっているものであり、エンテロトキシンによる腸管の潰瘍(偽膜)形成はその時点で始まっている可能性が高いということです。

 では、そのこと前提として踏まえて、薬剤関関連性腸疾患を考慮しつつ、出血性腸炎を偽膜性腸炎へと進行悪化させないためにどのように治療を進めていったらいいのかを、考察していきたいと思います。

fushimi_203

つづく

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