(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
伏見康生のコラム
NO.201:ワイン

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2012年9月19日

「尻尾を上げっぱなしの牛がおるぞ!!」
とKさんから診療依頼

脂肪壊死症??尿路閉塞??はたまた尾骨の骨折か??
前者2つはダイレクトに生命の危機となりうるので、出荷等も考えながら急ぎ牛舎へ向かいました。

到着し、案内された部屋には雌牛が二頭。
一頭は尻尾を上げ、腰をかがめて開脚状態で固まっていました。

ん?雌か!!
しかもまだ肥育期間も短い小さい子。
これは・・・あれだな!

まずは直検をして膀胱内容量と壁の様子をチェック。
そして、念のため脂肪壊死が無いことも確認。
で、本命・・・尿道にカテーテルを通して採尿すると・・・
出ました!赤ワイン!!

fushimi_201

この子は膀胱炎を起こしており、その痛みからむずむずして持続挙尾をしていたのでした。
このような持続挙尾を示す牛は、鑑別診断として脂肪壊死症(肥育後期に多い)、尿路閉塞(去勢牛の尿石症)、出血性腸炎(特に子牛の偽膜性腸炎に多い)、膀胱炎(雌牛に多い)、尾骨骨折(繁殖雌牛に多い)などを想定します。
さらに膀胱炎は、細菌性膀胱炎、腎盂腎炎、膀胱腫瘍(ワラビ中毒)、尿石症などを鑑別します。

この子は細菌性膀胱炎で抗生物質の連続投与で10日ほどですっかり良くなりました。

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