 |
被災地を旅して 〜TALKへ行きたい!③〜 |
コラム一覧に戻る
2012年9月11日
堀米夫妻に続き、宮城県大和町の肥育農家、根元信一さんの牛舎を訪ねました。
明るくて見通しのよい牛舎に、立派な黒毛和種がズラリ! その9割が去勢牛です。
根元さんは、震災前に飼料用の稲わらを集めていたので、放射性物質を浴びることはありませんでした。しかし、昨年7月、福島県産の肉用牛から高濃度のセシウムが検出された直後、「それまでキロ2000円を超えていた格付け5番の牛の値段が、1000円を切ってしまいました」。
一方、子牛が通常よりも10万円ぐらい高い状況が、昨年11月頃まで続いていました。
①口蹄疫の影響で、震災後も全国的に子牛が少なかった。
②TPPに備え、ホルスタインから和牛に切り換える大規模な肥育農家が増えている。
③元々宮城県産の子牛は、「茂洋」の血筋を中心に、評価が高い。
など、複合的な要因がありますが、子牛が高いのにセリ値が安い状況は、肥育農家には大打撃。「BSEの時も価格が大暴落したけれど、全頭検査が始まり、値段は半年で回復しました。けれど、今回は政府の対応があまりにも曖昧で、消費者の信頼が取り戻せないのです」と、悔しそうな表情でした。
ただ、今回宮城の牛さんを取材して、初めてわかったことがあります。
宮城が誇る銘柄牛「仙台牛」は、A5かB5でなければ、その名は名乗れず、しかも2009年の生産数は4,229頭! 数ある銘柄牛の中で「最も基準が厳しく、日本有数の頭数を誇る牛」なのです。
それにしても、宮城県には、なぜこんなにA5やB5の牛がいっぱいいるのでしょう?
① 優れた血統の牛がいっぱいいるから。
② 優れた技術を持つ生産者がいっぱいいるから。
③ おいしい稲わらが、たーんとあるから。
「この3条件が全部揃っているからです」と、JAみやぎ仙南の太田正利さん。そうだったのか! 知らなくてごめんなさい。そして、震災を機に全国の人にそれを知ってほしい。
宮城の牛はスゴいのだ! 生産者は震災の実害を乗り越えて、風評とも闘い続けている。全頭検査しているのだから、最も検査頻度が高くて安全な食材。おいしくどんどん食べよう。
そんな「風」が、そろそろ巻き起こってもいいのでは———と思います。
● 「茂洋」のプロフィール
http://www.pref.miyagi.jp/et-sgsin/Chikusan/shigehiro-p01.pdf
● 「仙台牛」について
http://www.sendaigyu.jp/


(つづく)
三好かやの
http://mkayanooo.cocolog-nifty.com/blog
前の記事 被災地を旅して 〜TALKへ行きたい!②〜 | 次の記事 被災地を旅して 〜TALKへ行きたい!④〜 |