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松本大策のコラム
「アタリがでたら・・・ (その4)」

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2009年6月29日

 アタリ(挫傷)は時として、後期の牛さんや出荷前の牛さんにできることがあります。というよりもその確率の方が高いくらいです。肥育というのは、牛さんの一生を短い期間で短縮して全うさせるやり方ですから、もしかしたら血管なども老化して出血しやすくなっているのかも知れません。
 出荷前にアタリが出た場合、そのまま出荷してしまうと皮下の筋肉などの組織が損傷しているので、枝肉検査の際に割除されてしまいます。僕は、出荷前のアタリの場合は、出荷を最低でも1ヶ月以上延ばしていただき、大きなアタリの場合は、止血剤とデキサメサゾンなどの消炎剤を1回は使用します。デキサメサゾンは免疫抑制作用があるので、出荷規制が3日くらいの抗生物質も併用します。あとはカンメルブルー(ゼノアック)などの塗布剤を塗って内部の傷が治るのを待ちます。内部の傷が治れば、たとえ外から見て腫れが残っていても、皮を剥ぐと腫れた部分はそちらにくっついて剥がれて枝肉の方は無事であることが多いのです。あと、アタリが出やすい牛さんは、前にお話ししたようにビタミンAやカルシウムが少ない場合もありますので、特に後期や出荷前の牛さんでは、このあたりもちゃんとチェックします。
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