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松本大策のコラム
「アタリがでたら・・・ (その5)」

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2009年7月6日

 肥育後期や出荷前の牛さんでアタリがでた場合、他にも注意すべき事があります。それは、内出血の影響で「溶血性黄疸」という状態になったり、内出血した赤血球の残骸の処理などで、肝臓が傷んでしまう事があるのです。肥育後期や出荷前の牛さんは、それでなくとも肝臓などは無理を続けてきているので容易に壊れやすくなっています。そこに通常以上の負担をかけるわけですし、アタリの原因の多くがイジメであることを考えると、ストレスからの消化管細菌叢の乱れによって発生するエンドトキシンなどの影響なども考えると、アタリがでた場合は、十分に牛さんの観察をして、もしも肝臓が傷んできているサインを見つけたら、早急に対処してあげなくてはなりません。
 アタリによる肝臓障害のサインとしては、1:便が黄色に変わっている、2:食欲が低下している、3:可視粘膜(眼とか陰門部などの粘膜)が黄色っぽい感じがする、などです。便が黄色っぽいな、と感じた場合は、パンカルG散などを飼料添加して様子を見ましょう。食欲が変わらずに良好で、便の状態が回復するようなら問題ありません。もしも食欲低下や可視粘膜の黄色化などの状態があれば、すぐに獣医さんに診てもらいましょう。下手をすると全身性の黄疸に発展して全廃棄になる場合だってあります。
 ビタミンAや亜鉛が不足している牛さんでは、内出血(血管の破綻性内出血)も起こしやすいし、その場合肝障害も併発しやすいので、不足しているようであればちゃんと補ってあげましょう。
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