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アタリ(打撲傷)がでたときに注意しなければならない牛さんがいます。それは出血傾向を持った牛さん、かんたんに言うと出血が止まりにくい体質の牛さんです。 遺伝病でもいくつかそういう体質になってしまうものがあるのですが、見た目で判断しやすいのが、いわゆる「赤目牛」というヤツです。正式にはチェジアクヒガシ様シンドローム(CHS)という病気なのですが、面倒くさいし舌をかんでしまうとこっちが出血してしまうので、僕は農家さんとお話しするときは「赤目牛」で通しています。 普通の牛さんは、暗い所で眼をライトで照らすと、青く光って見えます。これは、牛さんの網膜の後ろにタペタム(輝板)という鏡のようなものがあって、網膜を通り抜けてしまった光をもう一度網膜に反射することで、暗い所でもよく見えるようにする仕組みがあるからなのですが、赤目の牛さんは、この反射光が赤く光って見えるのです。これは脈絡膜という膜の血管が普通の牛さんと違うかららしいのですが、とにかくこのタイプの牛さんは、出血が止まりにくいのです。 アタリというのも内出血の一種ですから、出血が止まらないとどんどんアタリの腫れがひどくなってしまうのです。内出血といっても、出血には変わりありませんから、ひどいと貧血で死んでしまうこともあります。 赤目牛の場合、一般的な牛さんに使う止血剤がほとんど効かないので、そういう場合は輸血で出血を止める因子を移植してあげるのが一般的です。 |