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松本大策のコラム
「アタリがでたら・・・ (その2)」

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2009年6月15日


 アタリがでやすい牛さんには、他のケースもあります。一番多いのが、血液中のカルシウム濃度が低い、いわゆるカルシウム欠乏の牛さんです。カルシウム欠乏の場合、人間でも言われるように、神経過敏というかイライラしやすくなるし、何かの刺激を受けた際に異常にバタバタするために目立ってしまいます。牛さんは群れを作る動物ですから、敵が来たときなどにみんなで身を隠しているのに、一頭だけワキャワキャ騒いでたら群全体が危険にさらされます。そこで、そういう異常動作の個体はみんなでいじめて群から追い出すのです。その本能が残っているため、カルシウム欠乏の牛さんなど異常動作を示す個体はいじめのターゲットになってしまうのです。
 あとは、4頭群や6頭群などで、出荷時に一斉出荷しないで一部から出荷する場合も注意が必要です。この際、もしも群のボスを最初に出荷してしまうと、その群の秩序を護っていた存在がなくなるため、「あいつがいなくなったらワシの天下じゃけんのう!」とばかりに跡目争いが起こって、闘争による角突創が発生しやすくなります。それだけでなく、ストレスによる肉色悪化や異常肉の発生も増える傾向にあります。出荷の際は、管理者であるボスを残して、先にほかの牛を出荷することは鉄則だと思います。
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