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松本大策のコラム
「繁殖成績改善のチップス(豆情報)」

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2009年6月1日


 繁殖経営では、経営改善の考え方を大きく3つの柱に分けることが出来ると思います。まずは、母牛や精液の系統の選択、そして分娩間隔の短縮、もう一つが子牛の育成改善です。この中で結構いろいろなことを考えないといけないのが2番目の「分娩間隔の短縮」つまり、繁殖成績の改善です。
 これまでにも、繁殖成績に影響を与える要因についていろいろとお話ししてきましたが、今回は受胎率を上げるための添加剤として「リノール酸カルシウム」について一緒に考えてみようと思います。
 卵は「卵胞」という袋に包まれて発育し、この袋が破れて排卵します。卵胞(卵を包んでいた袋)はリサイクルされて「黄体」というものに変化します。牛さんが妊娠するためには、黄体から出るホルモン(プロゲステロン)が必要なのですが、ストレスなどの刺激で子宮から「内因性PG」というホルモンが分泌されると、このホルモンの働きで「黄体」が消されてしまい、また受精卵も死亡させられてしまいます。
 こういった「早期胚死滅」を防いでくれるのが「リノール酸カルシウム」という、第一胃で分解されない加工を施した不飽和脂肪酸の一種なのです。難しいことを言うと、リノール酸カルシウムは体内でインターフェロンτという物質と協力して内因性PG(正確にはPGF2α)の合成をじゃましてくれるので、黄体を保護してくれるおかげで受胎率が上昇するということです。
 皆さんが使いやすい商品としては、バイパスメイトLというものがありますから、地元の獣医さんに相談してみてはいかがでしょうか。
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