(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
池田哲平のコラム
尿石症を考える(5)

コラム一覧に戻る

2012年8月3日

 7)餌を食べない
 この稟告はあらゆる疾患に共通してみられる症状の一つですよね。人もそうですが牛さんも体調を崩すと食欲がなくなります。どの病気でも起こりそうな一つの症状(農家さんの稟告)から特定の病気を導き出すには色々と除外診断(可能性のある病気を順々に消していく)をして、最終的にいくつか残った疾患に関してはそれぞれに確定診断(その病気特有の症状や検査結果を示す)をすることになります。今回は過去の症例を例に出して、実際に診断シュミレーションをしていきたいと思います。

     ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

 肥育中期(生後16ヶ月くらい)の牛さんが餌を食べないという事で農家さんから往診以来がありました。実際の牛さんを見てみると、頭を少し下げて明らかに顔つきが悪くしんどそうにしていました。外部所見で気になる点は特になし。
「(これくらいの月齢になるとあまり風邪はひかないけど・・・熱でもあるのかな?)」
そう思いながら診察をスタート。体温を計ってみると熱はない。
「(ん~、やっぱり風邪じゃない・・・。食い止まりやビタ欠になるにはまだ早いし・・・下痢でもしてお腹痛いのかな?)」
などと考えながら聴診してみる。
呼吸器、問題なし。心音、正常。消化器、胃動は低下し、消化管内の異常音は無いが腹部がやや緊張していて硬い。
「やっぱりちょっとお腹が痛そうやね~アンちゃん(でも下痢はしてないな~・・・)」
と牛さんに話しかけたりしてみながら、自分自身に状況を振り返させてみる。。。
(つづく)

|