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(番外編)梅雨明けです |
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2012年7月23日
ようやく全国的に梅雨が明けるようです。僕らの子供の頃は、「梅雨の終わりの大雷」というものがあったのですが、最近はあまり耳にしませんね。
それはさておき、これから急激に暑くなってきます。温暖化の影響で全国的に気温が上がっていることに加えて、湿度が高いことで体感気温は余計に高いようです。
これから秋口にかけて、夕方「呼吸が速い」という稟告での急患が増えます。体温が高く呼吸も速い、肺の聴診をすると肺に湿性ラッセルという肺炎でよく見られる雑音が聞こえます。「こりゃ大変だ。すぐに抗生物質で肺炎の処置をしなくちゃ」というのが人情ですが、ちょっと待ってください。
夏の夕方の発熱(正確にはこの場合「うつ熱」といいます)や呼吸の速泊、肺の湿性ラッセル(肺に水が出ている状態)は、暑さのために心臓が弱り、肺への血液循環が悪くなるために起こる循環不全性急性肺水腫であることが多いのです。
この病気は、代謝の乱れた肥育牛の場合、結構やっかいで、場合によっては死に至る場合もあり、廃用出荷を選択しなければならない牛さんもいます。
まずは、1:その牛さんにRSウイルス感染や肺炎などの履歴がないか確かめる、2:心臓の状態を頚静脈拍動や心音で確認する、3:後頭部から水で徐々に冷やしていき全身を冷やしてみる、ということをしてみましょう。最初に抗生物質を打ってしまうと、いざという時に「廃用出荷」という選択肢がなくなってしまいます。
全身を冷やしてやることで呼吸が楽になるようでしたら、いわゆる「熱射病(最近ヒトでは熱中症といいますね)」である可能性が高いので、そのあとは心臓の状態を見ながら、重曹注やリンゲル、ビタミン剤などを与えていきます。
しかし、あくまでも心臓の状態と相談しないと、血液量が増えるということは、肺水腫のリスクは増加するということですから注意が必要です。獣医さんと良く検討してください。強心剤やカルシウム剤(心臓の弱る原因の一つがカルシウム欠乏なので時々使います。)には出荷規制があるので、その牛さんの治療メリットとリスクを良く考え合わせてあげなくてはいけません。
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