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松本大策のコラム
(番外編)雨降りの前って..

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2012年7月9日

 肥育農場の皆さんはどなたもご経験のことと思いますが、雨降りの前は牛さんの食欲が低下することが多いです。これは昔から言われていることですが、「湿度が高いから」とか「気が滅入るから」とか、その理由はいろいろと言われてきました。

 僕が獣医師になり立ての頃、千葉共済の獣医師の先生が「気圧の変動とガス(急性鼓張症)の間には関係がある、という発表をなさったのを記憶しています。
 僕も、現場の牛さんを見ていて、その先生の説が正しいのではないかと感じています。

 というのも、食欲だけでなく、牛さんの様々な消化器病が、台風の接近や雨の前など、気圧が低下する時に悪化する事をたくさん経験しているからです。
 悪化するのは、急性鼓張症だけでなく、脂肪壊死症の牛さんの全身状態や、盲腸鼓張傾向の牛さんの盲腸拡張による元気・食欲低下などです。

 気圧が変化すると、自律神経の乱れや、内臓への血流、ひいては内臓(消化管)の温度変化、などによって消化管内の環境が変化し、細菌叢(善玉菌のバランス)が狂ってしまうためではないかと思っています。人間でも、消化管内細菌叢の変化から、鬱などの精神面への影響まで出ると言われているのです。

 気圧の変化を防ぐことはできませんが、生菌剤の給与や消化管内毒素の吸着剤、良質粗飼料の給与などで、気圧変化による悪影響を減らす努力をしてあげましょうね。

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