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松本大策のコラム
(番外編)最近考えてること

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2012年7月2日

 肥育農場にとっても繁殖農場にとっても厄介な「脂肪壊死症」ですが、一時期減少していたのに最近再び増加しているので、最近思い付いたことをお知らせしておこうと思いました。

 以前から「脂肪壊死は牛さんが太るせいではなく、痩せるときに起こる」とお話ししています。
 実際、肝臓や脂肪代謝、消化管の治療を行い、食欲を回復させて太らせていくと治癒していくことが多いのです。

 しかし、それ以外にも、クロストリジウム感染症のあとに発生しやすいとも感じていました。

 その他には、よく知られたことですが、但馬系に多い、大麦の多給で発生が増える、などの所見があります。
 さらに、近年兵庫県で、黄土粘土やゼオライトなどの毒素吸着剤を与えた群れは、与えていない群れに比べて、脂肪壊死の発生が少なく、その程度も軽いという発表がなされています。

 これらを総合的に考えると第一胃の異常発酵で生じた毒素が、脂肪壊死の原因の一部でもあるのではないか?と思いました。

 検証はこれからですが、第一胃の健康を護ることは、やはりとても大切なように思います。

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