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松本大策のコラム
「子牛の健康は胎教から?」

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2009年2月23日


 繁殖農家のみなさんは、どうにかして元気で大きい子牛を育てようと日々がんばっていらっしゃると思います。でも、生まれてからの事だけを考えていても完全ではありません。だって子牛はお母さん牛のお腹の中からすでに発育しているわけでしょ?
 というわけで、今回はお母さんのお腹の中に子牛がいるときの健康管理のお話しをしてみようと思います。上の図は、以前(2年前の12月15日分)のコラムでも出した図ですが、一目で分かるように受胎してすぐから6ヶ月間くらいは子牛はほとんど発育せず、分娩前2ヶ月くらいから急速に大きくなるのです。ですから、この時期にはお母さん牛に「お腹の赤ちゃんの分」の飼料を与えてあげなくてはなりません。
 通常は、470kgくらいの母牛で濃厚飼料1kgと良質粗飼料飽食の増し飼いでよいのですが、母牛だって個体差がありますから、1頭1頭のお母さんとよく相談しながら増減してあげなくてはなりません。具体的に言うと、「健康な状態から太りもヤセもせず、お腹はいつも大きい」という状態をキープしてあげるのです。あと、増し飼いに使う濃厚飼料は子牛の育成用くらいの、繁殖飼料よりタンパクが若干高めのものがよいようです。子牛の免疫のためにもタンパク質は重要ですし、なんと言っても発育するのはお母さんではなくて子牛ですからね。あと、良質粗飼料がいつもお腹いっぱい食べられるようにしておいてあげましょう。そうでないと腹ぺこストレスで、免疫抑制物質(副腎皮質ホルモン)が分泌されて、病気に弱い子牛になってしまいます。
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