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松本大策のコラム
「管理が変わる、病気が変わる」

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2009年2月16日

 みなさん日々の管理ご苦労様です。みなさんは毎日いろんな事に気づき、いろいろと改善を図っていらっしゃると思います。これはとても大切なことです。でも、何かしらの「改善」を図ったら、その都度日記をつけて下さいね。
 管理が変わると、たとえそれが改善のためにやったことでも、何らかの変化が起こります。もしかすると、それが何かしらの不利益な事態を引き起こす可能性もあるのです。
 典型的な例として、粗飼料自給および保管のためにロールサイレージが普及しました。そのおかげで自給粗飼料の確保がずいぶんラクになりました。しかし、これは「青草」の給与が減って、乾草もしくはサイレージの給与が増える、という変化をもたらしています。それによって「何か」が変化しているということを考えておかなければなりません。この場合は、おもに水分含量・βカロチン含量・ビタミンA効力・ビタミンE含量が変化していると考えられます。
 実際に現場でも、こういう変化が病気というか状態の変化をもたらしているのです。どのような変化か、というと、ビタミンEやβカロチンの不足で黄体の形成が悪くなって受胎しない、とか、生まれてくる仔牛の血液中のビタミンEやAが不足している、とかです。このように、なにかの管理を変化させると、生体に何かしらの変化が起こるのです。
 コンサルで初回の聞き取りの際によく伺う「ほとんど変えていない」という言葉を、僕たちは「少し変えています」と受け取るように心がけています。みなさんも、ほんの少しでも何かを変えた場合には、記録をとるようにして下さい。その変化が原因でなにか問題が発生したときに、必ず改善するきっかけになるのです。
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