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松本大策のコラム
「ジリ貧を避けよう!」

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2009年2月9日

 このところの不景気と干ばつなどの異常気象で、粗飼料・配合飼料とも値上がりしていました。今年に入ってから、円高と収穫の安定で価格が低下してきましたが、こういう価格の変動を見ていてよく感じることが、「草の値段が下がると、子牛が良くなるなあ」ということです。確かに、牛肉が売れず、子牛の値段も安くなってくると、少しでもコストを下げたくなる気持ちはわかります。
 しかしながら、ここで問題になるのが、粗飼料の品質を落とす事による「生産性の低下」です。とくに僕が口を酸っぱくしていっているのは、「分娩前2ヶ月の母牛の粗飼料は、最高級品を使ってね」ということです。子牛の育成にしても良質の乾草をつかうと、肥育前期並みのTDN、CPがあるのです。ほんの少し値切っただけでTDNで6割、CPで1/3しかなくなってしまうのです。計算すると、とても割高になってしまっていますし、できあがった子牛の姿を見ると、セリ値で十万も差がつくのが理解できます。
 草代なんて、たとえば分娩前2ヶ月間6kg使うとして360kgですから30円高い草を使った所で10,000円くらいです。しかしこの経費をケチると、生まれてくる仔牛が小さかったり、病気ばっかりしていたりして、結局うまく育ちにくいのでセリでは何万円も安くなってしまいます。
 同様に、景気が悪くなると「予防衛生費」も削られる傾向にあります。しかし、駆虫にせよ鉄剤やビタミンにせよ、予防的な抗生剤やワクチンにせよ、削ってしまった分は、かならずしっぺ返しを食らいます。しかも一番いやな形で「経営悪化」という結果を収穫しなければならないのです。

図の引用社団法人 日本酪農乳業協会HPより

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