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松本大策のコラム
「冬が始まるよ(3)」

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2008年12月22日

 前回、冬場はタンパクを身につけるためのカロリーが足りなくなりがちで、アンモニアが全身を回る、というお話しをしましたが、このアンモニアという物質は、生体内でいろんな悪さをします。とくに困るのが、肝臓をはじめとする各臓器の働きを低下させて免疫を低下させたり、病原体の感染を防ぐ物質の生産を低下させたりして病気にかかりやすくしてしまうのです。
 また、カロリーの不足自体が低温に耐えられず子牛を弱らせたりヤセさせたりします。こういった事態を防ぐために、冬場はカロリーの不足が起きていないか、よく観察してあげる必要があります。「いったいどのくらい増やしてやればいいの?」という質問をよく受けるのですが、正解は「目の前の子牛が、カロリーが足りてるよ、と教えてくれるまで」です。それじゃ不親切なので、あくまで目安として「気温が5℃以下の時は、20%くらいカロリーを増やす」と覚えてください。でも、これはあくまで「目安」です。子牛の観察をして調整してあげなくちゃいけません。
 それじゃ、どこを見るか?まず、寒そうにふるえている子牛がいたらダメ。次に被毛がボサボサと荒くなっていないこと。そして子牛がやせていないこと、肺炎が増えていないこと、白癬が多くないこと、等を目安にします。
 実際には、このような子牛がいたら「カロリー」を増やしたいので(逆に言うとタンパクまで増やしちゃうと、かえってアンモニアの害がでるかもしれない、ということです)、カロリーが高く、タンパクは低めの飼料を増やすのです。僕は、肺炎も広がっていて子牛がやせている場合などは、3ヶ月齢〜7ヶ月齢くらいの子牛には、バイパスメイトLを100g×10日間程度給与します。それからトウモロコシの中厚圧片を適当に(ホント、実際適当なんで申し訳ないのですが、目の前の事象に迅速に対応するのがコンサルなので、まずやってみて修正!なんです)、300g〜500g日量与えながら改善の具合を見て増やすなり減らすなりの調整をとるのです。
 これで発育改善と肺炎の対策の両方に効果が期待できますよ。
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