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2012年7月17日

4)飽食ってほんとに飽食ですか?

 うちの牛は配合のピークは12kgだよ~とか13kg食っても平気だぞ!なんて声をたまに耳にします。ところで粗飼料はどのくらい食っているのか聞いてみると、『飽食だ!』の一言で終わることが多い様に感じます。それが本当に『飽食』であれば良いのですが実際はそこまで粗飼料を十分に食い込めて無いのではないでしょうか?もしくは大抵、『2kgくらい食ってるよ』と仰る方が多いのですが、粗飼料の2kgって案外、嵩があるものです。

 北海道では自家産牧草を使っている牧場が割合多いですが、私の研修している牧場では、完全に輸入粗飼料のみを与えています。F1で基牛導入(8ヵ月齢)~12ヶ月齢頃までの平均で3.6kg/頭/日以上は食わせ込んでいます。ただし12ヵ月齢での配合飼料給与量は概ね8kgぐらいでしょうか。その他にビール粕も1kg給与しています。

 ピークでも配合10.5kg程度に抑えていることもあり、粗飼料は12ヵ月齢~出荷までの平均でも2.3kgは食べています。因みにこの粗飼料の食下量の数字は去年1年間の給与量を延頭数で除して求めてみました。粗飼料は牧区毎に秤で計量・記帳しているので正確だとは思います!自分で言うのもなんですが、私の研修先の牛さん、結構、腹作りは出来ていると思うのです…配合10.5kg+粗飼料2kg+ビール粕1kg=13.5kg
 あくまで平均の話、血統にもよると思いますが、牛さんのお腹は総量で14kgも食べれば満腹なのでは?と思うのです。そうすると13kgも配合飼料を食べている牛さんでは、粗飼料の入り込む隙間があるはずありません。

 私の研修先では今年になってから、給与回数を細かく分けることで粗飼料の食下量が増えているのです(2.3kg→2.6kg程度?)。と同時に、足腫れで治療する牛さんが全くいなくなったんです!もちろんビタミンAとの因果関係もありますから断定は出来ませんが、粗飼料の重要性を改めて見直しているところです。草ばっか食ったって太らない!と思うかもしれませんが、配合飼料多給しても下痢して栄養を吸収できなければ無駄になってしまいますからね。【適切な粗濃比の見極め】これが鍵になるのではないでしょうか!

(つづく)

ワタル(猫)

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