2026年7月31日 *********************************************************** しかし、分娩誘起を行っても「思った時間に生まれない」ということは少なくありません。注射を打ったのに一向に分娩が始まらないケースがあるように、分娩までの時間にはばらつきがあります。そのため、分娩のタイミングをより正確にコントロールできる方法があれば、農家さんにとっても獣医師にとっても大きな助けになります。 そこで近年報告されたのが、**VWS法(Vaginal Wall Stimulation:膣壁刺激法)**です。 方法はとてもシンプルです。通常どおり分娩誘起の薬剤を投与し、その約24時間後に膣壁をマッサージします。膣壁が刺激されると「ファーガソン反射」という反射が起こり、体内からオキシトシンが分泌されます。このオキシトシンが子宮収縮を促し、より自然な形で分娩を開始しやすくすると考えられています。 黒毛和種を対象とした研究では、VWS法を行った牛は従来の分娩誘起と比べて、薬剤投与から分娩までの時間が短くなり、そのばらつきも小さくなりました。一方で、難産率や子牛の活力に悪い影響は認められませんでした。つまり、「より狙った時間に、安全に分娩を行いやすくなる可能性」が示されたのです。 そこで先日、予定日を大きく過ぎても分娩しない牛がいたため、この方法を試してみようと思いました。分娩誘起の薬剤を投与し、24時間後に農家さんへ膣壁のマッサージをお願いしました。翌日、「どうでした?」と電話をすると、「マッサージする少し前に生まれたよ(笑)」との返事。結局VWS法を試すことはできませんでしたが、母子ともに無事に分娩を終えることができ、結果オーライでした。 今後も分娩誘起の際には、積極的に実践してみようと思います。 参考文献
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