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みなさん、写真は何をしているところか分かりますか?実は、牛さんの胸腔(胸の中で、肺が収まっている部分)にたまった膿を除去しているところです。肺炎ということで代診にいったのですが、蓮沼先生が聴診のところで書いていたように、牛さんを揺すりながらの聴診を行ったところ、胸腔からピチャピチャというかヌチャヌチャというか(擬音ってムズカシイ)、そういうなんか粘っこい液体が揺れる音がしたのです。 そこで試験穿刺といって、ためしに太めの針で刺して中身を確かめてみました。牛さんの肋骨は平べったくてかなり重なり合っているので、14G留置針という長さ20cmくらいの針でななめ前方に刺していかないと胸腔に届きません。すると、中から膿が出るは出るは。なかなか止まらないので、太い筒管針に切り換えて、結局15リットルほどの膿を除去しました。その後、リンゲルに抗生物質を入れたものを40リットルくらい使用して、流れ出てくる液体が透明になるまで胸腔を洗浄し、最後に抗生物質を注入して穴を塞ぎました。 このあと全身投与も併用して治癒したのですが、胸腔の膿を除去しないと絶対に治らない症例だと思います。いろんな症例があるものですね。でも、実際牛さんを揺すったときに、ほんのかすかに液体の音が聞こえなかったら、こういう処置はしなかったと思います。 |